Care: Troubleshooting 3
トラブルシューティング3:使い古されて色が剥げてきた!
2011年発行 「日本の革 4号」より
しっかり使いこまれ、取っ手や底の部分の革が剥げている女性用バッグ。もともと自然なムラ感のある風合いの染料によって仕上げたバッグであったため、使い込まれてもヤレ具合は目立ちにくいが、やはりこうした剥げや傷は目についてしまう。
そこで今回は染料を使って染め直すことに。染めるといっても染料に浸けるような本格的なものではなく、布に付けて塗るように染めていく手軽なもの。もともとバッグが自然な風合いなだけに、染め具合に多少ムラがあっても気にしなくていい。
染料が乾いたら、バインダーで染料を定着させて、さらに長年の使用で抜けた油分を補うために乳化性クリームを塗ってツヤを出して仕上げる。
かなり使いこまれた革とキャンバスを組み合わせた女性用バッグ。常に手が触れるハンドル周辺や、バッグを置いたときに擦れる底部分の色が剥げ、無数の傷も付いている。
中指と薬指であれば力が入らなくて◎
染料を入れるタオルは、勝川さんの場合、中指と薬指に巻きつけるようにして持つ。人差し指を使う人も多いが、その場合、力が入りすぎてしまうという。薬指であれば力が入りづらいので、繊細な作業ができる。磨きあげのときにもこの2本の指を使うという。