キヨカワ | Japan Leather Guide(ジャパンレザーガイド)

Products: KIYOKAWA

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キヨカワ:熟練職人の巧みな技と女性ならではの視点を融合

キヨカワ熟練職人の巧みな技と
女性ならではの視点を融合

「使う人の日常に寄り添うバッグ」をキャッチフレーズに、世代を超えて愛される普遍的なコレクションを発信しているキヨカワ。
1960年に創業した清川商店のプライベートブランドで、手がけている松村美咲さんはいわば3代目。創業者は松村さんの祖父、現在の代表は父、と三世代にわたって墨田区吾妻橋という情緒ある下町で歴史を刻んできた。清川商店は国内生産にこだわった、ハンドバッグをはじめとするフォーマルなバッグのOEM製造をおこなっている皮革製品メーカー。現在もOEMは続けているが、14年前からはユニセックスのカジュアルバッグをラインナップしているアズーニ、3年ほど前からは祖父が力を入れてきたフォーマルバッグを中心としたキヨカワをスタートさせた。ファッション同様、昨今はバッグもカジュアル化が進んでいる。そんな時代に、なぜフォーマルバッグに改めてフォーカスしようと思ったのか。それは昨今バッグ業界で深刻な問題となっている、職人の高齢化も関係している。

キヨカワではベテランと若手が切磋琢磨しながら、完成までの全プロセスを一人の職人が丁寧な手仕事で仕上げている。それが実現できているのは、在籍するすべての職人がサンプルも作成できるほどの高い技術力をもっているからだ。ただ、ほかのメーカーがそうであるように、かつては高齢化に伴う職人不足が深刻だったという。
ちなみに創業者の代から在籍する古参も健在で、その職人は80代とかなりの高齢。改めてフォーマルバッグにフォーカスしたのは、キヨカワの財産ともいえるベテランの熟練技を受け継いでいくためでもあったのだ。もちろん逆も然りで、ベテランが若者から学ぶこともあるという。世代が違う職人たちがそんな理想的な関係を築けているのは、それぞれが密にコミュニケーションを取れる環境が整っているからこそ。それによって大量生産や分業制ではできない、高いクオリティもキープできるのだ。
キヨカワには秀でたデザイナーがいるわけでもなく、独自の特許をもっているわけではない。だが、頼りになる凄腕の職人たちが在籍している。それがブランドの強みであり、同時に魅力にもなっているのだ。

一般的にバッグはデザインが決まってから素材を選ぶことが多いが、キヨカワは素材ありきのモノづくりを続けている。その順番によってクオリティが変わることはないものの、理想的なレザーや金具と出合えるまでは製品化しないというポリシーをもっているのだ。使用する素材の選定にも職人たちの意見が多いに反映される。さらにサンプルを実際に使い、壊れやすくないか、使い勝手はいいかなどを細かくチェックしていく。少しでも気になる点があったら修正し、そのサンプルを再度使っていくため、完成するまでにかなりの時間を要する。
また、片手でも簡単に開閉できるようマグネット式を採用するなど、母親でもある松村さんならではのアイディアが盛り込まれている。そして妥協することなく徹底的にこだわっているのは、デザインを起こして製品にしていくプロセスを大事にしているから。なにより使う人の日常に寄り添い、長く愛用できることがキヨカワのモノづくりの根幹だからだ。現在も理想的な素材との出合いを待っているデザイン、使い心地をチェックしているバッグがいくつかあるという。時間をかけて丁寧につくられたバッグとともに、日本が誇る職人技の素晴らしさを伝えていく。

女性らしくて使いやすい
ころんとしたフォルムが印象的

巾着デザインが印象的な「ZITA」シリーズのショルダーバッグは、おしゃれなルックスながらも実用性も高い優れもの。くしゃっと握ると吸いつくように手に馴染む上質な牛革が使われており、しなやかさやソフトな質感が見た目にも伝わる。その質感を最大限に活かすべく余計なステッチを省き、職人技を駆使してカッティングのみで丸みを出しているのもこだわり。
クラス感を高めるゴールドの金具や革ひもの結びがシンプルなデザインに引き立ち、スタイリングの絶妙なアクセントにもなってくれる。ショルダーストラップが華奢で女性らしいので、デイリー使いからちょっとしたお出かけまで頼りになるはず。


KIYOKAWA ZITA Shoulder bag

素材
牛革
価格(税込)
¥29,700