Creative: Karimoku

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カリモク:革の個性を知り 一枚を無駄なく使いこなす

カリモク革の個性を知り
一枚を無駄なく
使いこなす

2014年発行 「日本の革 7号」より

木工よりスタートした同社の歴史。木も革も同じ位のこだわりで消費者は見ているという。木材の木目や節などは、幼い頃より経験的に見ているせいか、比較的寛容なのに対し、本革に接するのは大人になってからという人が多く、少しのキズにも厳しい。
しかし、革にも自然に由来するキズがあるのだ。牧場で押される焼印の跡や太い血管の筋、自然の生活の中で付くものなどがある。同社ではそれを「ナチュラルマーク」と呼んでいる。そうした表面のキズを削ったり、顔料を厚塗りして欠点を隠してしまってもそれは同じ「本革仕様」となってしまう。しかしカリモクはあえて、銀付革というレザー本来の表面層のみを使用している。「広げて、手を置いた時に分かったのですが、風を感じたのです。毛穴が生きているから風が抜けるのですね」と教えてくれたのは、同総張工場長の林博行取締役。当然、同社が用いる革に対するチェックはシビアだ。革の個性を厳しく見極め、部品の取り合わせを考慮し無駄なく一枚の革を使いこなす。「年々、工程は増えていっていますよ」と林さんは笑う。その工程は、消費者に目に見えて分かる違いとはならないかも知れないが「何となく、こっちの家具がいいな」と直感で分かってもらえればという。この志こそがカリモクを形づくり、一流の風格を生んでいるのだ。

1.革のチェック

3人掛けの半革ソファーで1.5頭分の牛革を使用

専用になめしてもらっている革は9割以上が日本のタンナーによるもの。常時3000頭分の牛革をストックする。ロット毎に決められた光源の暗室の中で、標準見本と見比べ、色を調べる。次に台の上に広げ、風合い、手触り、厚さ、シボの具合をチェック

2.裁断

1枚1枚で違う牛革を丁寧に切り分ける

目視でダメージやナチュラルマークをチェックし、それを避けるように金型を置き一気に裁断するパターンは比較的ロット数が多いもので採用(写真上 ※現在は使用しておりません)。一方、PCに革をスキャンさせ、CADを見ながら人間が型入れをするパターンは、少量ロットのソファなどに使用(写真下)

3.縫製

デザインごとで変わる細かい作業が連続する

裁断で細かく分かれたパーツをセットし縫い合わせていく工程。縫い付けで革が何枚も重なる部分は厚くなるので、厚みを削って薄くする(写真左)。ギャザーミシンで革を寄せていく(写真右上)。最大70名以上が従事する

4.革張り

張りある美しいラインを生む出す最終工程

別工程で作られた木枠にウレタンを入れながら、革を金具やファスナーで木枠に取り付けていく。固く重量のある本革の縫製品に、ウレタンが負けないよう手で細かく調整していく。それが美しい張りのあるラインを生む。

5.完成!

日本のなめし技術と、カリモクのデザイン、木工、革張り技術が結集した一脚。日本の革を大切に無駄なく使いこなしたいという意志が宿っている。