Creative: Nino Classical Tailored

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二宮五郎商店:ものづくりには 技術を包括する思想が必要

二宮五郎商店ものづくりには
技術を包括する
思想が必要

戦後間もない昭和年に創業した二宮五郎商店。「何十年も使い込んだ結果を見通して製品をつくっている」と話す2代目の二宮眞一さんに、じっくりと話を伺った。

2014年発行 「日本の革 7号」より

「クオリティの高い製品に必要なものは、熟練した技術と最新の設備、それと上質な革。寿司と一緒で、ネタは良いものを選ばないとね」
小物をメインに、時流にフィットするレザーアイテムを多く世に送り出している二宮五郎商店。同社を語る上で欠かせないのが、2代目の眞一さんが語るこの3つのポイントだ。
まずは技術。人件費のコストを削るために外部に仕事を発注せず、すべての工程を自社で賄う。伝統ある風琴マチなどの技法を含め、技術を次世代へと伝え、職人の育成に力を注いでいる。設備にも投資を惜しまず、使い勝手の良いイタリア製の機械を導入。そして肝心の革は「とびきり上等なものしか仕入れません」。初代の二宮五郎氏から受け継ぎ、磨き上げたものづくりの思想は、製品から感じ取れる。栃木レザーを用いた束入れは、タンニンなめし革のワイルドさを活かしながら、床面の毛足を寝かせて繊細な手触りを表現。丸みのあるシルエットが斬新な「KAWA‐ORIGAMI」シリーズは、一枚の革を折り畳みミニマムな縫製で仕上げている。
「ピノ・アルミランテ」シリーズは、凹凸の多い表面の加工が特長。使えば使うほど凸の部分に色艶が加わり、立体的な陰影が浮かび上がる。共通しているのは、素材の良さが際立つシンプルなデザインと、ディテールの丁寧な仕上がり。どれもこれも、革そのものへの愛に満ち溢れているのだ。
「子どもの頃、家に転がっている革を踏もうものなら親父にゲンコツを喰らってましたから」眞一さんが笑いながら語ったエピソードに、二宮五郎商店のルーツを見た。

現在の主力は30代で、20代の若手も着実に育っている。将来的に会社を継ぐ予定の3代目は33歳という若さ。