Creative: Kinuya

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絹や:地場産である“藍” 天然×天然が珠玉の表情を生む

絹や地場産である“藍”
天然×天然が
珠玉の表情を生む

世界からも注目される徳島の名産品“藍”。
ジャパンブルーであるその深みのある青を徳島の呉服店が革に染め上げた。
2つの天然素材と日本伝統技術が新しき和のかたちを提案する。

2014年発行 「日本の革 7号」より

藍色。サッカー日本代表のユニフォームでも知られるように、その色はジャパンブルーとして古来より好まれている色。その一大産地が、阿波徳島である。藍染の伝統技術は日本各地に残っているが、その原料となるスクモのほぼすべては徳島で生産されている。「うちは呉服店なので、基本的には革とは無縁でした。ただ昭和初期の帯の文様に使われていた縅毛(おどしげ)を見て、これって革だよなーと気づいたのが始まりです」。徳島で伝統の和のデザインを提案する呉服店『絹や』の山田代表。藍といえば徳島と世界的には知られているが、国内ではまだまだ認知が低いことをなんとかしたいと考えていた。
2020オリンピックエンブレの藍色が注目されたこともあり、藍染の関心が高まり様々な業界から、藍染革に関心が寄せられているので、今後幅広い市場と新たな製品を開発していきたい。

藍色の革。現代のなめし技術ではその実現がまだできていなかった。似た色はだせても、伝統的な天然藍色とはやはり違うもの。なめし技術で難しいのであれば、やはりそこは餅屋。着物の染色で古くより付き合いのあった国選定卓越技能章『現代の名工』をもつ紺屋(こうや)さんに相談した。天然皮革はやはり天然素材で染めるのが一番よい。天然灰汁発酵建てという技法を用い、革を何度もカメに浸し、丹念に染色を施す。そうすることで阿波藍の深みのある色、質感、テリが生まれた。「この藍染の革を色々な業界とコラボしていき、天然染料の藍染を広めていきたいです」。革も藍も天然素材。一枚一枚、一染一染違う。さらには使い込むことで生まれるそれぞれの天然の味。徳島の誇りが、その革の表情には込められていた。

天然染料なので素手で作業しても問題ない。質感、温度を直接肌で感じとる。

藍玉。ここに小麦や灰汁を加え発酵させる。

発酵した藍の中では菌が活発に活動し、その菌が染色をうながす。


藍染とは

ジーンズに代表されるように、藍は世界中で長く愛されている色だ。日本では古くより藍を発酵させてつくるスクモを染料とする。江戸中期より現在に至るまでその原料となるタデ藍の栽培は徳島が一大産地である。日本各地で染められている藍の原料の95%は、徳島で栽培、制作されたスクモを使用している。海外で生産されるインディゴよりも深く美しく調和のとれたその色は、JAPANBLUEとして世界でも称えられている。