Knowledge: Mens' Belt

Knowledge: Mens' Belt

メンズベルト:意外に知らなかった、 革ベルトのこと。

メンズベルト意外に知らなかった、
革ベルトのこと。

「おしゃれの隠し味」といわれるベルト。
その特徴や構造を詳しく知ってお気に入りの一本を手に入れよう。

2009年発行 「日本の革 2号」より

男性の場合、一本の革ベルトを長く愛用する人が多い。自分の体形になじませながら、革ならではの独特な経年変化を楽しむには、「品質の良し悪し」が重要となる。だが、もっとも身近に、長時間共にするアイテムでありながら、ベルトについて私たちがもつ知識は意外と少ないのでは?ふたつのチョイスポイントを紹介しよう。


バックルで選ぶ

ベルトの色や素材とともに大切なチョイスポイントとなるのがバックル(留め金)。もともと、甲冑(かっちゅう)についていた実用品だったものを世紀頃から婦人たちが装飾として使い始め、ベルトデザインにも大きな影響を与えるようになった。紳士ベルトの主流種の特徴を紹介しよう。

ピン式

デザイン的にもバリエーションが多いピン式はフリーサイズが主流になりつつある。奇数ある穴の真ん中とピン先までの長さで調節する。

バックル式

このタイプの特徴は微調整がしやすいこと。サイズ調節の際には、バックル部分から15cmほどベルト部が出るようにカットする。

トップ式

金具の部分にロゴやマークがデザインされることの多いこのタイプはピン穴だけでホールドするため、パンツをゆったりと締める時に向く。


構造で選ぶ

革ベルトのもうひとつの魅力は縫製の仕上がりだろう。構造上大きく分類すると、ジーンズに合わる場合の定番である一枚の革で仕上げた「一枚もの」と職人の技術が活きる「合わせもの」の種類。
「合わせもの」は表革と裏革の間に芯を入れ、接着剤使用の「貼り合わせ」と両縁にミシンをかけた「縫い合わせ」がある。その仕上がりの風合いが魅力の縫製について紹介しよう。

ベタ合わせ

カジュアル向きの縫製方法としてポピュラー。表革と芯、そして裏革の3枚を接着剤で貼り合わせたシンプルな縫製技術。合わせ目が見える両サイド部分(コバ)がよく磨かれているかをチェック。表革と同じ色で仕上げられていることが多く、仕上がりの良さがほつれや毛羽立ちを防ぐ。

フェザー合わせ

ビジネススーツなどの細いベルト通しなどに負担をかけないよう、ベルトの両サイドを薄く仕上げたものを「フェザー合わせ」と呼ぶ。表革のしなやかさと芯部分の素材の相性がよければ立体的な印象が上品さを醸し出す。高級品では見えない芯部分にも革を使用するものが多い。

フランス合わせ

ワニなど爬虫類やオーストリッチなど高級革でよく使用される縫製が、このフランス合わせ。裏革で芯革のフチを包み込み、上から表革を貼り合わせることでベルト全体の強度が増す。もともとフランス製品の多くがこの縫製だったことからこの名がついたともいわれている。

セーター合わせ

フランス合わせとは逆に、表革を裏へ返して芯革を包み込むように裏まで回して、裏革をそのまま貼り合せたものをセーター合わせと呼ぶ。強度を増すために飾りミシンをかけたものもある。職人たちの間では、「裏貼り」と呼ぶこともある。

無双

一枚の表革で芯革を完全に包み、張合せたもの。カーフなどのソフトな皮革に使用される縫製加工。合わせ目がベルト幅に対して7:3の位置にあるのは、ピン穴から逃がすため。裏側を千鳥模様に縫い合せた「千鳥無双」、縫い目が目立たないよう内側に回しこんだ「袋無双」などがある。