Knowledge: Gloves
グローブ:ベストオブマイ革手袋に 出会う方法。
2009年発行 「日本の革 2号」より
知っているようで知らない、革手袋の正しい選び方とは?知れば、きっと自分だけの「とっておき」が見つかるはず。数ある素材の中でも革は、水分や汗を毛穴から出すので蒸れにくく、摩擦や熱に強いため、焦げることはあっても溶けることはない。伸縮性があり、伸びる所は伸び、曲がるべきところは縮む。年月を経て、使う者の手に沿った自分だけの手袋が出来上がる。それは、全く同じ商品であってもしわの入り方で、他人のものには違和感を覚えるほどになるということ。価格に関わらず、己の手に過不足のない手袋こそ贅沢の極みだ。
まずは、自分の手のサイズを知ること。百貨店などの手袋売場にあるサイズ表の数字は、手の平の長さではなく、「手囲い」のサイズを表している。手囲いとは、左手の生命線の始点と、小指の付け根にあるしわと手首の付け根にあるしわを結んだ線の下から/の点を通る「手の周りの長さ」のことである。
手袋を手にとって確認しなければならないのは、縫い目だ。縫い代が真っ直ぐかどうか、ベストな縫い代は、レディース1mm、メンズ1.2mm。際すぎれば穴が開くし、内側すぎれば使っているうちに縫い代が捲れてくる。また、縫い始めの部分がキレイかどうか、途中で糸を継いだ部分がきちんと処理されているかどうかもポイントだ。
縫い方も大切なデザインの一部。例えば、レディースの洗練された薄手の手袋には縫い目が表に出ないオール内縫いが多い。逆に、厚手の生地には外縫いが適している。素材別の縫製もまた装着感に深く関わっている
手袋の伸び代は、7対3が黄金率。ヨコに7割、タテに3割伸びるものが、最も手にフィットする。廉価な商品はタテにもヨコにもあまり伸びない。また、ヨコよりタテに伸びすぎる手袋は使い物にならないので注意が必要だ。これは革のどの部分からパーツを取るかにかかっていて、裁断者の目利きと技がモノを言う。
滑り具合を確認し、手の平と指の長さや太さに合っているかを試してみること。裏地が薄いものはよりフィット感を重視し、温かさを求める厚手のものは少し空気が入るくらいの余裕のあるものを選ぶ。革は使っているうちに馴染んでくるため、手囲いは伸び率も計算のうち。少しきついかな?くらいが丁度いい。
試着におけるエチケット
試着をする際に指の曲がり具合を確かめる人がいるが、これはマナー違反。革手袋の場合、しわが入らないように装着感を肌で確認すべし!
天然素材を活かした手袋のバリエーションは幅広く、用途や目的によって使われている革も違うもの。主力の羊革に加えて、牛革、豚革、鹿革、馬革、カンガルー革、ペッカリー革、カーピンチョー革、ムートン(毛付羊革)…とさまざま。洋服を選ぶように、手袋も素材で選ぶのがセンスの見せどころだ。